眠り姫/salco
 
、二メートルと掘らぬうち鶴嘴の尖は妙な手応えにぶ
ち当たった。さっそく私はスコップに持ち換え、刷毛を掲げて身構え
た。
 まず見えたのはひび割れたガラス質の石だ。と思いきや、屈強な土を
払うにつれて三?が十?、(略)五十?と拡がって行き、(略)一m、
(略)二m、現れ出でたのは驚くなかれ、ガラスの棺だ。もっと驚いた
事に、―― 私はずり落ちた眼鏡の曇りを軍手の指で拭いながら、己が
目玉か頭を疑ったものだ ―― それは襤褸くずと見紛うミイラならぬ
見目麗しい、妙齢の女の寝姿だった。

 この肌の白さ、この頬の赤み、唇は朝摘みの薔薇の色。髪は艶やかに
ふさふさと、夢の如く清らな美
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