雨の歌がきこえる/あまね
雨の歌がきこえる
空から放たれ
大地に落ちて
響く、歌たち
この星の、この世界の
この国の、この街で
ぼくたちがいま
確かに踏みしめる土のうえ、
なきがらを見送り
あたらしく生まれるものを祝う歌だ
土くれのひとかけらずつに
ふくまれている
ほほえみとかなしみの種たちが
いっせいに、芽吹く
空の神と大地の神が
雨の糸をつたって
めぐりあうとき
ひとつになるとき
いや、もとからひとつだった
ぼくたちの目には
分かれたように映るけれど
引き離されたように映るけれど
空の神と大地の神は
いつもともにあって
父の呼吸と
母の鼓動の
ひと
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