夜想曲/涼深
 
藍色の街を見下ろす丘で
声もなく涙する背中は壊れそう

届かない光へと
変わらぬ愛を歌う
あの時から目が離せなくなった


くだらない誓い
見え透いた嘘
荊で織られた鎖と檻と

キミを取り巻く全て
否定することは容易いのに


潤んだ瞳が映す甘い楽園
偽りの日々がキミを満たすなら
今はただ望むままに

いつか
いつか
役立たずの鎖を断ち切り

いつか
いつか
大地の感触を思い出せるように



傾いた天秤はそのままでいい
軋んだ言葉が翼を黒に染めていっても

新月の水面に
波紋が広がっていくように
気がつくとキミを離せなくなった
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