ごみばこ/純情気質
 


あきらめた
朝みたく
せいせいするひどくしずかな恋
どこか
手放せないでいた
さみしさみたく
すこしずつ千切られていく あしたのかたち


ほんとうは、
なんて
言いかけてみたり
ひりひりとやわらかい傷口をそっと
くちびるでなぞってみたり。


馬鹿にしてるね、
それは
つぶやいたままのケムリのかたちで
きっと皆にわかってしまう
ので
足元にしゃがみこんでしまった幼く弱った人を
助けないまま
電車の窓をひらひらと
見送って


捨てられた人はとてもシンプルな顔で
光の下 燦々と白いのでした
それでもそのニンゲンは電車を乗り継いで家へたどりつく
ほんとうなら駅の汚れたゴミバコのなかに
くたりと横たわっているはずのもの
のぞきこむおじさんの視線からも
無意識のうちに外されているもの


そして不義理を詫びても
味気なく笑うだけで赦されるきのう
それだけの
恋のなりそこないみたく
幼い嫉妬にも似た
さよなら




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