下方修正だけの人生/はだいろ
ぼくの人生は、ずっと、
下方修正のみしてきました。
生まれたときには、かわゆさのあまり、
きっと知らない国の王子様として拾われるはずだったに、
違いないのです。
みっつのころにものごころついて、
川沿いの団地のアパートの庭で、
はなたれのガキにひっかかれて泣いていることに気がつきました。
いまでもさかあがりはできませんが、
外国へ出かけた絵描きさんの家にうちの一家が居候することになって、
その立派な門に座らされて、
大泣きしている写真があります。
それでもサラリーマンのお父さんと、
サラリーマンの娘であったお母さんの夢は、
ぼくが白衣を来たりっぱなお医者さんになって
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