ひとでなし/小池房枝
 
ひとでなしという生き物がいる
海に棲んでいる
ヒトデによく似ているけどヒトデとは違う生き物
だからヒトデナシ

ひとでなしという樹がある
梨の仲間だが咲くとき花びらの大きさが少しずつ違う
五本の指の人の手にも見える
だからヒトデナシ

ひとでなしという詩もある
それはもう
説明さえも憚られるような鬼畜な詩なので
ひとでな詩
でもいっそ鬼畜のほうが美しいこともある

ひとでなし
ひとでなし
ひとではないという意味ならば
ひと以外つまりひとをとりまく世界すべてのことではないか

みな好きなようにいきなさい

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