チアノーゼ/士狼(銀)
生きるとは呼吸、そして死は眠りだ。
エマージェンシー、イマージェンシー、イマジネーション。突如音のない世界に放り込まれ、治まらない耳鳴りに首に心臓が上がってきたかのような動悸がする。
そのいきものから拍動は感じ取れるも横隔膜の動きはなく、青紫に変色し始めた指先が呼吸停止を告げ、開始される人工呼吸、心臓マッサージ、張り詰めた手術室。蒼白な空気を肺いっぱいに吸い込み狂ったように繰り返される心肺蘇生、それはもう物になる可能性に占められていても、頭の隅では分かっていても、弱々しいぼくたちは諦められないのだ。
たかがイヌ一匹、たかがネズミ一匹、それでも生きているひとつ、生きていたひとつ
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