さっぱりわからない現実を食べ歩く23歳午後4時/碧姫
雑踏はいつも空気が薄くて
階段を昇るたびにふらふらと倒れそうになって
それはそれは大きな矛盾を抱きかかえたまま手荷物のかばんを放り投げたい
だからと言って僕は投げたりなんかしない
だってそれじゃまるで僕がただの阿呆みたいじゃないか
それじゃ困るからぼくはやっぱり投げたりなんかしなくて
仕方が無いから息を吸うついでによいしょっと肩にかけてうっと来る重みに
思わずしかめっ面なんかをしちゃって
横を歩いてたお姉さんに不思議そうに見られたけど
だからって別に僕があなたの顔を見て違和感を感じたわけじゃないよと
伝えたかったけどそれは切り取った日常の中の一瞬で
まさかそんなものの為に彼女がいや神様が僕に時間をくれるわけも無いから
歩道橋の上に登ろうとして階段を踏み外してその瞬間僕は
さっぱりわからない現実(空気)を食べ歩く23歳だった
時計は午後4時ちょっとすぎ
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