読書感想文/瀬沼孝彰詩集『凍えた耳』/光冨郁也
また八木幹夫(詩人)の栞文があり、わかりやすく短く解説されている。
(大切なことは
(寒い時どう歩くかではないでしょうか(「ホタル」部分)
わたしにはそれが人生の比喩に聞こえる。
わたしの好きな詩は「朝の瞳」で通勤電車の中の光景や、隣のもたれてきた女を描いている。この女にひとりの詩人の優しい暖かな目が向けられる。
わたしもこのような寝顔をしているのだろうか/女のくらしの時間が/肩の重さからひっそりと流れ/つかの間/抱きしめあっているように思われた(「朝の瞳」)
西野さんは仕事中に/自分がわからなくなってしまうことがあるのだ(「コンクリート
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