読書感想文/瀬沼孝彰詩集『凍えた耳』/光冨郁也
 
瀬沼孝彰詩集『凍えた耳』(ふらんす堂)
1996.6.22発行

 わたしはこの詩人の名前やひととなりを詩の雑誌や『死んでもなお生きる詩人』北川朱実著(思潮社)で読んで知っていたが、作品をまるごと読んだことはなかった。瀬沼氏はすでに亡くなっている。ある日、近所にある古本のチェーン店で、この本が百円で売られていたのを見つけた。少々、驚きながら購入した。
形式はわかりやすい・平明な言葉で、行分け詩と散文詩がある。内容はとくに散文詩などはエッセイではないのかと思われるほど、自分の身の回りにあったようなことを、実際経験しなければわからないようなことを、書いている。仕事や同僚や知人の話など。また
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