扉/きりえしふみ
 
今も変わらず
お前は其処に 在るのだけれど
私はお前の開き方を忘れてしまった
お前と語らう固有の光のような言葉を話せなくなった

お前は其処に今も 居るのだけれど
「こんなに……!」という程近くに 居るのだけれど
私の手にある鍵は変形したまま
お前のあの瑞々しい微笑みと抱擁……そして愛撫を長らく
お前の中に閉じ込めていた

 解読不能の文字の一つさながらに

堅く閉ざされた扉を通して
今もお前と私は
相容れぬ接吻を交わす
指が重なるような距離で 離れ離れで

日毎 夜毎 狂おしい面持ちで辿った
お前への難解な道 苦難の道程
薔薇と棘に包まれた
お前の腕(か
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