ていく/船田 仰
行ったことない街の駅ちかく
集まったひとびとのあたまの、上には
なんだかほわほわした空気がある気がして
ずっと見てた
電車はすこしだけ違う世界を連れてきて
早まる夜に
とてもとても、ていく、みー、はいやー。
蛍光灯のあかりと
踏み切りのにおいがする
綺麗なひとの
笑ってるかおが面倒臭くなる
自転車の帰り道で切符を買わされた
むりやり
そして希望が頭をふりながら
切符に穴をあける
ああ
切符はとても、ゆらゆらした期待だ
何度やりなおし、言っても
毎朝何着てこうかとか考えるしさあ
どんなに、いたい、グラデーションでも
関係ないんだよねえ
空が冷えて滑りそうになって
ねえ居てもいいよ、ってことさ
ていくみー、
きみが言ってくれれば
ていくみー、
ポケットを埋めてくれれば
いいんだけどとか
おもうのでした
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