光は赤いのが好き/アオゾラ誤爆
トマトジュースの喉ごし、気に入らないざらついた酸味、砂場まで走っていこうなんて考えていた、朝焼けのうすいひかりは手抜きの水彩みたいだから。もっと冷やして、かたくして!直視する鉄棒の錆、むかし好きだったひとのことを考えながら蛇口をひねる、手首、どうでもいいんだ、手首。じゃばじゃばと落とされていく透明の痕跡が、まるで昨日(或いはあした)なんてなかったかのようにアスファルトを濃くする。排水、排水、公園の片隅、結局読まなかった古本は積まれてちいさな日影をつくっている。まだ薄い、全然薄い、踏み壊してもいい?――ばさばさの髪をかきむしったらまたすこし刺さる、ぷつり、波縫いは得意じゃなかったんだ、すぎていく時間
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