潜在/佐藤章子
午前三時の必要性がたった今解った気がした
両足が横にはりついてまるで星みたいだ
左目を廊下に忘れたから今日ははやく寝よう
ひどく瞬いた世界の夕暮れに
軸が傾いて腕の栓ばかり見ては
凍る爪先を踏み固めていく
(青い空を笑う君に告げる)
空回りの真相は一方通行の
陽だまりでしかなかったということ
決まった席の影が小刻みに声を高めるということ
床に流した指の束はまだ足首をつかんでいる
もう言葉を発する意味は無いのかもしれない
沢山の絵の具が散らばって
顔を埋めさせる
夏の日、傘をなくしてから
手の広げ方を忘れてしまっていた目の前の私は
方法さえ見つけられずに
破ければいい
君がくれた時計は
もう止まってしまったから
耳が空を飲みこんで
死んだふりをした
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