風の故郷/小川 葉
やべえ、いきる!
そうさけびながら
まだわかいろうじんが
かいだんを
かけぬけていきました
ひとはあれくらい
いきてると
ひとつやふたつ
おそろしいことにも
そうぐうするものです
といってもまだ
かれはわかものでした
かくいうわたしは
なまえをつけてくれる
おやもない
ちりはじめたはなびらを
どこまでもはこびつづける
そのことにひっしな
かぜでした
まだわかいろうじんを
としおいたわかものたちが
おいかけていきます
そのときうまれた
かぜつまりわたしが
いちりんのはなびらを
どこまでもつれていきました
やがてじめんに
おちるまで
さいしょで
さいごのふるさとに
たどりつくまで
そのわずかなあいだにも
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