おーい、雲よ/仁惰国堕絵師
一枚、二枚と雲母をはがし
石の欠片で絵を描いた
砕け散っては舞い上がり
藍に溶けてゆく粉塵は
何処かに漂うはずなのに
空の青だけ眼に痛い
三枚、しまいに雲母をはがし
石の欠片で絵を描いた
見えるはずない絵ができた
具にもつかない絵ができた
絵にもならない絵ができた
絵にもならなきゃ絵にあらず
おーい雲よ、おーい雲
君には見えるか?、僕の絵が
おーい雲よ、おーい雲
君、聞こえるか?、僕の音(ね)が
君には見えるこの絵なら
焼かずに部屋に飾ろうか
君には聞こえるこの音(ね)なら
捨てずに胸に刻もうか
おーい雲よ、おーい雲
おーい雲よ、おーい雲
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