奢った者/くさいきれ
写真なんてキライ
思い出に固執して生きるのなんて真っ平
いつも新しいことに目を向けて生きていくべき
そんなことを言っていた
ロクなこと無かったし、しても来なかった人生だもん
ハサミでちょん切ってしまいたい出来事もいっぱい
目の前で
すべてをザバーンと来た波が飲み込んで行ったのなら
真っ白な空間だけが残されたのなら
どうだろう?
一瞬、羽が生えたように飛んで行けそうな身軽さを感じた
でも、なんだか今の自分の体のどこかも 真っ白になるようで
寂しい
自分のまわりにいる人までも
そんな虚無の存在に関わり、振り回されてきたのかと思うと
申し訳なかった
消したいのでは
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