願い/
乱太郎
野原に言葉を放したい
青空の下で
道行き人に言葉を預けたい
街灯の下ででも
わたしは「わたし」を捨て去りたい
「わたし」が
わたしを拾う時まで
わたしは
「あなたがた」の影でありたい
「あなたがた」が
わたしに名を付けるまで
わたしの玄関には
表札がまだ付けられてない
わたしにふさわしい言葉は
いつ見つかるのだろう
わたしは
願い
生きていきたい
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