さいごのロボット/itukamitaniji
打たれたように 体を電気が走った
なんだこれ?
胸の真ん中辺りが温かい
そしてすぐに冷えて
胸の真ん中にぽっかりと
穴が空いた
寂しい
悲しい
虚しい
ひとりぼっち
なんかバグったみたい 目からオイルが流れ出した
どうして『感情』なんてもの 作ったのさ?
僕は心を手に入れて そして世界は色を無くした
灰の上を歩いた 足跡は残るけど何の為?
瓦礫に躓いて転んだ 起き上がる気力もない
僕はずっとひとり 生きてゆくのは何の為?
指先に触れるものがあった 灰まみれで揺れる白い花
インプットされている 情報の中に名前はない花
まるで僕みたいさ
楽しい
うれしい
笑ったり
歌ったり
きっと誰かに会いたかった きっと誰かに触れたかった
知らずに終わるのは もったいないんじゃない?
僕は生まれた 終わった世界のさいごのロボットで
新しく生まれ変わる世界の さいしょのロボット
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