希望/ピッピ
嘘しかついたことがない少年の
嘘をつく顔のまま
ずっと走り続けていた
地球がだめになって
火星も金星もだめになって
木星にようやく足跡をつけたとき
ぼくは笑っていた
光は遅すぎて話にならない
音はぼくのずっと後ろで息を上げている
ばかしかいない歴史のように
骨だけの鳥が飛んでいる
声帯を持たないから鳴くこともない
ビッグバンが世界の隅っこで起こって
物語が世界の隅っこでしか進まなかった
どれだけページをめくっても
下等生物しか登場しない
ぼくは笑っていた
昨日までの物語を石ころに込めて
おもいっきり蹴飛ばしたら
もともと小さかった石ころが
割れてさらに小さくなった
もともと小さかった石ころが
割れてさらに小さくなったんだ
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