壊れてくれればいいよ/竜門勇気
な
少ないよりは
もう世界の果ては
嘘と本当くらいに近くて
すぐそこで
嘘と本当くらいに越えられないから
いますぐここで
本当を嘘にして渡ってしまいたくなる
どのみち帰れないんだ
目的地もないのに帰れない旅だ
ああ 世界の果ては
このさみしいポケットの中にもあるのに
俺の生きてる時間では辿り着けないんだな
無数の命の果てを
わき目でみながら
今日も氷の中にいる
世界の果ては
終わりの先の終わり
だから
いつまで経っても
俺の終わりは小さくなるだけで
薄まるだけで
どこにも辿り着けないんだろう
始まりでも終わりでも無い場所で
砂になって流れていくんだろう
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