アナルの奥の町/真山義一郎
アナル、いわゆる肛門の奥には
秘密のスイッチがあって
それを押すと
あの町に行ける
真っ赤な部屋を抜けると
あの町、独特のモノクロの世界
娼婦の塔
高架を走る思い出
そして、涙に濡れた公園
すべてが白と黒
ノスタルジアに溢れているようだが
勘違いしてはいけない
僕らはそこで
未来の思い出を見てる
まだ、行ったことのない場所に
帰りたいと願い
まだ、出会ってもない男や女に
恋と失恋の苦さと甘さを同時に与えられる
ダ・ヴィンチやミケランジェロより
ラファエロが好きだ
と彼は呟いた
氷の美術館で働いていた彼女が
凍死する未来の話だ
その呟
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