理屈の恋文/電灯虫
生じる現象としては同じはずなのに
その仕組み上 先に生まれるから この先ずっと後ろ姿しか見れなくて
捕まえて振り向かせても 滑らかな感情の曲線描く その横顔しか覗けない。
外部に反応して生まれているだけ その生来の受け身は承知してる。
別に逃げているわけじゃないと 気づくのがどうしたって後からってだけだから
周りの景色と違う それだけはきちんと知覚できる この位置関係が僕たちの距離。
語彙を増やした分だけ 脚力が増したと 自信満々に追いついても
掴んだ触感から 捉え損なっている その絶対性は間違いなくて
振り向かせること無く 手を離す。
生まれたての頃の記憶か
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)