無色(十一月)/松本 涼
 
水族館の水槽の
分厚いガラスのような
向こう側で十一月は
無色に捕らえられていた


人々は皆
無色のパントマイムで
街を往く


色という色は
呼び寄せられた十二月のマンホールに
閉じ込められてしまったらしい


ああ
と声を発してみたが
それは音にはならず
ただポカンと間抜けに
口を開けているだけの自分だった


どうやら僕も無色の孤独に
捕まってしまったようだ


僕は音のない声で
疲れるな
と呟いてみた




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