赤鼠、白狐 ver. 2/mizu K
ていっても気づくひとはいない
また村のはずれで白狐が出て、ひ、辻斬った、縁切りのまじないもきかなんだ、縁取りされた顔の、びゃっこ、走りとんだしぶき、ひ、菱形の、口角のあぶく、夜に、きつね、ぼぅとうかんだ、ほの白いのは、ひ、悲鳴とともにきこえるのは、火だ、あぶらだ、塗りこめられた、あぶらだ、それは呼ぶ、それは呼ぶ、それはそれは、ひ、火だ、おそろしい、おそろしい
あまつぶを、あと、待つ、舞台のはしを、埋没したおぼつかない足もと、欄干がかしいでかたむいて、橋桁がほろほろ、ほろほろほろほろ崩れていく、みんな打ち上がる花火を見上げている、みんなかるく口を開けて笑っている、傾きながら、ざわざわとさ
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