夕暮れ列車/朧月
 
聞こえぬように
溜息ついた
ほら 電車の中で

がたんごとんにまぎれこませて
ほら溜息

窓にかかるブラインドのような
ひとびとの曇り顔のせいで
みえない

あのこの優しさも
あなたの心配も
この車両の中

席をゆずってもいいですか
確かめないと不安で

弱者ってだれですか
そんな色分けをきちんとしなくて
強がりの人すらも
そちら側に並べてしまう

網棚に忘れられた
思い出はだれかの
笑顔でした


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