稀有な人々/salco
な社や十字架が兵隊達の延命の代わり
赴いたのは母の為父の為、女人や子供達の為
死んだのは自由と制圧の為、正義と国益の為
だがお前達を忘れぬ者など一人もいない
老人達は曲がった指で拾い集めた枯れ葉を数え
濁った眼球に霞んだ夕日を映しながら死ぬ準備をする
赤ん坊達はもどかしく身をよじり泣きながら知って行く
薄青い眼球に映る世界が涙で洗われる事は決してないと
誰もが誰かと邂逅する為に生まれて来
誰もが稀人を待ちながら生き
思い出だけを携えて
何も残さず消えて行く
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