幽霊/
智鶴
瞳に映ることさえも
冷たい言葉を羅列するだけ
何も覚えていないんだ
この言葉も
指先を離れた瞬間に
死んで灰になっていく
君の色をしたこの嘘に
恋をすることで壊れると思った
指先から流れるアスファルトと
無表情な僕の仮面
僕は本当は幽霊だった
求めるものを
その気配さえ失って
さまよい続ける幽霊だった
誰にも気付かれたくないよ
哀しいほど僕は普通で
君があまりに遠くにいるから
ねぇ
消えてしまいたくないんだ
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