「悲しみ」を売る/
寒雪
今日きみを失って
打ちひしがれて
涙が止め処なく流れる
そんなぼくの悲しみを
売店の陳列棚に
ほこりがかぶらないよう
そっと気付かれずに並べる
手にとってくれる人が
ぼくの気持ちを
体の中に取り込んだ時
大切な何かを失って
絶望感に苛まれる
今のぼくの
偽りのない気持ちを
分かってくれる
そうなると思って
置かれた悲しみを
誰かが手に取るのを
息を潜めて見ているよ
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