夜のラブ・レター/佐倉 潮
 
冬枯れの畑に立って
鯨色のジャンパーを着込んで
二月の夜空を見上げ
父の書斎で拝借した
古ぼけた万年筆を
夜のインキに そっと
ひたし 流れる雲の
切れ端に綴った
あなたへの手紙です
どうか あなたが
夜が終わらぬうちに
開いてくれたらいいな
朝になれば消えてしまう
ひみつのラブ・レター
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