はての浜/
望月 ゆき
あの日
しゃがんで拾った貝殻は
引き戸の奥
ひしめきあいながら
眠っている。
波に濡らしてしまった、
と泣いた
スカートのすそで
今なお
夕暮れは踊る
あの日
目の前を通り過ぎていった
魚の
群れ、群れ、群れ
どこに向かって
どこにたどり着いただろうか。
焼き付けた脳裏の
水面
今は遠い
あなたの声が
跳ねる
向かうべき場所も
めざす場所も
あるわけじゃなかった
ただただ
およぎつづけること
それで、いい
あるきつづけること
それだけ
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