遅れるのがいい/電灯虫
 
面と向かって会うのもいい。
電話で同時的又は即時的に会話するのもいい。
でも、時間的遅れが不可避な交流が好き。


言葉を文法に乗せて
読みつつ認識する意味と
気持ちと
記憶から浮かべた曖昧な像であなたは浮かび上がり、
選んだ言葉の選択と
句読点の置き方で
息づかいを感じる。
自分の気持ちで肉付けしてるから
3分の2は結局自分の気持ち
愛おしさの契機は
愛おしさを感じる自分から
だから、自分への愛おしさはどうしたって含んでしまう。
だから、仕方ない。


もどかしくてたまんないけど
どこか謙虚になれる気がして
メールに比べて相手に求めないような気がする。
相手は目の前にいなくて
やり取りは遅れてやってくる
読んで感じるものだってほぼ自前のもの。
それでも自分の想いの確認と純化を目指して磨けるから
たったの一部でもいい
気持ちのせる試みに励み
励んだことで最低限で唯一の交流を担保して
せわしない雀より、堂々とのんびりとしたペリカン経由で
1秒でも遅れて届けたい。

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