納骨の日/ゆるこ
高萩の本家の近くの墓場はいつもナビから外れた場所に存在していた
だからかどうかわからないけれど
父親の一周忌も三回忌も墓参りに行くことはなかった
父親の納骨以来の墓参りは
奇しくも母親の納骨の為だった
「死者はくちなし」
黒蟻が囁く手前、殺風景な墓地に足を踏み入れれば、墓石が立っていない本家の墓にたどり着く
桶二杯分の水を両手に持ち、回りの石を少し洗ってやる
誰も来ていないので雑草だけが無駄に
ぼうぼう と
生えている
その雑草たちに水を掛け、それから少し手入れをする
前に、墓の上にあるものにはなにかしらの人の情が移る場合があることを聞いていたの
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