D.A.Harold's brain/田無
俺はある夜、見知らぬ男に叩き起こされた。
俺は西荻窪の10階建てマンションの8階に住んでいる。
気休めではあるがマンションはオートロックだし、
玄関の鍵はもちろん掛けてあった筈だ。
しかし男は俺の目の前に立っている。
俺は寝起きで働かない頭のまま、訳も解らずただ男を凝視していた。
男はベッドから半身を起こした体勢の俺を、ただじっと見下ろしていた。
どれ位の時間が経っただろう。
5分?いや、1時間か…。喉がからからに渇いていた。
かすれる声で俺は男に話しかけた。
「誰だ…?何なんだよ?」
それまで能面のように表情のない顔で俺を見下ろしていた男は、
口角が耳に届
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