生まれる。/ゆるこ
>夜がわたしに降り注いだ。
それは思念として漂うわたしを取り巻き、大きな渦になったかと思いきや
急速に血肉をつけ、むくむくと膨らんでいった。
くるり、ころがる。ころがれば、すべてが曖昧に都合よくみえた。
>瞑る瞳の中。
わたしは人類の始まりを見ていた。
地球の走馬灯だ。夢幻の間だ。降り注ぐ星の妄想だ。
すべてから、泣き声が聞こえたが、わたしの声音だったかもしれない。
肌をなでる肉が熱量をもって、わたしの魂/領域に触れようとしたのだが、
生まれながら理解してしまったからこそ、蹲ってしまったのかもしれない。
きっとこの記憶すら、外気の毒に消されてしまうので、それ以上はなにもいわないし、いいたくもない。
>産まれそうな感覚のなか。
言葉を羊水にそっと置いていく。
記憶も、感覚も、感情も、五感も、すべて。
くるり、ころがる。ころがれば、すべてが曖昧に。
(そうしてうまれて、せかいをしって、またまるまって。くるり。)
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