寄り添えど独り/甲斐シンイチ
幼いっていうやつのほうが幼い
人生一回こっきり 一本の道しかない
後にも先にもない道
先に行ってる人間なんかいない
僕がはじめての旅人なんだ
見てきたようなことを言うなよ
僕の道では 僕の見て聞いて感じたことが真実なんだ
独りでしか登れない
狭い狭い道の山を登っているんだ
おーい と呼びかけたら山彦じゃない
君たちの声が聴こえてきたらいいな
それでも僕は登っている 独りだけの山を
高い低いは関係ない
寄り添えど 独り
独りであることへの自覚はあるのかい
それだけが幼さだよ
戻る 編 削 Point(1)