どこかの誰かへ/
 
っているが
「誰か」とは繋がっていない


+


どこかの誰かから
一通の手紙が届いた
当たり前のように差出人の名は無い
封を開け 
ぎっしり書かれた文字に目を通そうとした瞬間
それは音もなく溶けはじめた
慌てて形を保とうとするけれど
すぐにそれはどろどろの何かに変わってしまった

しばらくその何かを見つめ
送り主に思いを馳せてみたが
言葉は
一つも浮かんでこなかった


+


もう見えなくなった郵便配達人の背中に向かって
大声で意味の無い言葉を叫ぶ

何一つ 届く事は無い
知っていたけれど
伝えようとすることを 続けていたかった


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