天災と人災/一 二
 

為せし事業も
ついには墓を持て無に帰するなり


如何に醜く
燃えやすきかな
焼き尽くす欲情の焔

如何に轟きて迸り行くかな
溢れくる情欲の洪水

満ち足りた者が
満ち足りぬ者の
糧を奪うというは
愚かなる世よりいづる誘いなり

斯くて全ては
砕き溢垂れ
凄まじき荒野と化すなり

栄華の極みに昇れると自負する輩も
ついにはその錦を死の間もて覆われるなり

神にも等しき高き座を極めたると
自負する輩も
塵と灰に帰る定めを逃れることなし

しかして最後の刻を告ぐる鐘鳴りて
土より出でし者
土へ帰り
その高き位の基の崩れ去るとき
貴顕の人すら全き忘却の淵に
葬られるなり


如何に儚き
如何に虚しいのか
人の生命は

我らの目に映るもの全ては
尽く崩れ落ち
過ぎ去るなり
戻る   Point(1)