届け/寒雪
お互いの心を
ありもしない感情で
罵り傷つけ合い
次第に二人の間に
冷たい空気が
椅子を持ってきて
座り込む
空を見ると
大好きだったはずの
あなたの顔に似た
黒い雲から
降り注ぐ涙雨
思い出す
あなたと手をつないで
影が長くなるのを
目で追いかけて
だらしない歩き方で
家路についた夕暮れ時
頼りなげな気持ちを
横にいるあなたの体温で
励ました
あなたが眠る場所に
しゃがんで手を合わせる
あの時言いたくても
言えなかった気持ちを
言葉に置き換えず
頭の中で
あなたに届けと
祈りを捧げる
手遅れだと思っていても
そうせずにいられない
心の悲しさを
青い空が吸い取ってくれれば
そう思っている
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