いかないで/朧月
避難区域からわずか数歩の場所で
自営業を営む友人
屋内退避してちゃ飯が食えないといい
従業員を避難させてひとり仕事する
だれもなにも運んでこず
うちに蓄えたなにもかもが底をついて
とうとう引っ越すと言う
それはあたしにとっても
胸がえぐられることだけど
それでもあなたがそこへ駆けつける足をとめたい
たったひとりで引っ越すあいつの
手伝いを自らいう
海岸では人がそのまま朽ちており
時が流れることなく
あなたはそれをみる
風になにが含まれるか
知ってて大丈夫というの
禁止されない地区へ
踏み込むあの人を守れるの
あの人の体を守る
なにも身につけてゆかないと
あいつは変わらず働いていると
あの人はなにをしようとしているの
だれがわるいなんて言わないから
おねがいみんなを助けて
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