a kind of ending/ガリアーノ
を想って
あんなにも溺れ、傷ついたことを、ぼくは忘れたわけじゃない
ただ、慈しんでいる。
きみを死にたいくらい求め、病むほどに思い詰め、息がとまるくらい苦しんだことを
あわい想いで、ただ慈しんでいるんだ。
変わらずに変わっていることやかなわない恋につらい思いをしていることも
ぼくにはほとんど遠い。
ぼくの内側では、ただうす甘いセンティメントが発酵して胸を締め付けているんだ。
なにも感じないわけじゃない。なにも思わないわけじゃない。
思いだしているだけなんだ。思い返しているだけなんだ。
あんなにもひとを好きななったことはない。
あんなにもひとを求めたことはない。
あんな風には、もう人に恋をできない。
そう思わしめるこもごもを、ただ、慈しんでいる。
ありふれた結末通り決していい終わりではなかったけれど
この切なさを、運んできてくれてありがとう。
恋が所詮身勝手なものに過ぎないのは多分恋愛の神様が身勝手だからだけど
気まぐれにこんな縁も結ぶことがあるんだね。
神様、恋愛の神様。
どうかどうか、そのままで。
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