この冬が終わったなら/A.Yusa
球を飛ばし
白帆に風受けて
旗を掲げて
待っている
気まぐれな風に髪を靡かせながら
翻弄されながら
抱えきれない程の花束を抱いて
世界を描く
君だけの世界を
君は君の世界の隅々にまで
花束を投げ
花びらを敷き詰めて
絵の具を溶き
絵筆を手に取り
隅々まで君の色に染め
そして歌う
やがて君の歌で埋め尽くされた世界で
君の咲かせた花で埋め尽くされた世界で
君は
終わりのない愛や平和を描く
そして
夜明けにそれを
この世界にバラまいて
眠る
朝に目覚めたなら
きっとみんなが口を揃えて
夜更かしはやめなさい
酒も煙草もやめなさい
夢ばかり語らずに
現実に目を向けなさいなどと言うから
君はまた夜の隅っこで爪を噛む
夜が長過ぎて
夜が短過ぎて
いつも君が迷子にならないかと
僕は心配で眠れない
眠らずに
眠れずに
夢を見る君
夢に泣く君
いつかこの世界に眠り
眠るこの世界の隅っこで
同じ風を受けて
同じ光を浴びて
一緒に笑いたい
いつか、
いつかの日にか…。
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