春2/番田
つも見ているようだった
あの少年の 微かな記憶なのか
出て行くことだけは 簡単だった
日常だけが ただ あるようだ
*
そうではないものは何だろう
だけど 何もかも 自由だったらいいのに
あの溜まっていた金はどこに行ってしまったのだろう
何曜日だろう 今日は
食パンを囓っていた
たなびいていた 風だけが
夢として見ていた気にさせられている
何もかもを 忘れてしまった
*
一体 どこに 旅立つというのだろう
そして 一体 どこに 行くのだろう
人のいなくなった 景色の 中で
羽を生やして 飛んでいきたい
とても 辛いものを 食べている
冷たい水を 飲んでいる
温かさに 満ちた 風呂に入りたい
靴も新しいものに 変えたばかりだ
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