水銀灯の下/寒雪
 


黄昏れた真夜中が
雲に紛れてついた
ため息の水蒸気に
ぼんやりと輪郭を滲ませた
水銀灯の下
ぽつんと佇んで
誰かが来るのを待ってる


寂しげで侘しい
心臓の奥底に潜む
ひとりぼっちの心
いつか来るであろう
まっさらな朝焼けの
存在を疑いそれでも
誰かの冷たくなった
手のひらを待ち続けて
どこかに行くことを
いつの間にか忘れてしまう
暗闇が一生懸命
抱え込んでしまったせいで
すっかり悲しくなった
あちらこちらに
ふわふわと漂う人々の気持ちを
脳裏深くに取り込んで
安堵のため息をそっと漏らす


ふと
離れた水銀灯の下を
じっと目を凝らして見ると
誰かがいるようで
いないようで
自分としては
誰かがいてくれると
少しでも気持ちが紛れるから
嬉しいんだけれども

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