春のどこかで/番田
くことだけは 簡単だった
そうではないものは何だろう
いつも何かを見ているようだった
見ていないのは何だろう
食パンを 囓っていた
日常だけが ただ あるようだ
あの溜まっていた金はどこに行ってしまったのだろう
だけど 何もかも 自由だったらいいのに
何曜日だろう 今日は
風だけが たなびいていた
夢として見ていた気にさせられている
一体どこに旅立つというのだろう
そして 一体 どこに 行くのだろう
何もかもを 忘れてしまった
冷たい水を 飲んでいる
とても 辛いものを 食べている
人のいなくなった 景色の 中で
靴も 新しいものに 変えたばかりだ
羽を生やして 飛んでいきたい
温かさに 満ちた 風呂に入りたい
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