春のどこかで/番田 
 

きっと風だけが流れていた
プールの彼方に
遠い空の向こう側に
多くのものは そこに 見えなかった
見ることができたのは
寂しさのようなものだけ
私は 夢だけを 思い浮かべていた
きっと そうだった
いつも 見えたものは そんなものだった


あらゆるものがインターネットによって省略されていく
とても 寂しすぎたのだ
何もかも忘れたみたいに寂しい
私は どこに 向かうのだろう
今でも それは はっきりしない
最近 笑うことも 少なくなった
はっきりしているのはシルエットの影だけ
あの少年の微かな記憶なのか
風景だけの毎日が存在させられた


出て行くこ
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