眠れない夜、止まない雨、励まさない詩/木屋 亞万
 
明けない夜はないのだという言葉は
果てしなく長い夜を過ごしているときには
何の役に立たないのだということを
知っている人はあまりいない
と、憂いている人は少なくない

もしも眠れないまま
何もできないまま
ただ天井を見つめたり
身体をもぞもぞさせたりするしかないとしたら
そのとき
終わらない夜はないのだという言葉は
夜の次は朝だという単純な意味を帯びるだけ

遠い終焉に絶望している人間に
いつかは辿り着けるよと励ます
無責任さ

その
終りの見えない距離も
繰り返し訪れる苦労も
想像できずに
頑張れば何とかなるのだと鼓舞する
適当さ

止まない雨が
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