線路を歩く/構造
北海道へ避難した。延々と避難を勧めるメールが届き続け、それを無視し
つづけている。仙台のほとんどの人間は東電の発表を信用していないが
同時に、東京のパニック状態を軽蔑してもいる。死ぬなら仙台でと思って
いる人間、どうせ奇形児が生まれる程度だと思っている人間、さまざまだ
おれも死を思った。職場では実家が流された、家が半倒壊でべったりと危険
という赤シールを貼られたなどと冗談交じりに話している。復興への期待
というよりは命があるだけまぁマシだという諦念が漂っているのだ。
帰り際、開いてる商店を探しいくつか寄り道をしたあと、幸町の踏み切りに
たどり着いたところで俺は思った。こ
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