アゲハ/itukamitaniji
アゲハ
教室の真っ白な壁に 君は油性ペンで大きく
大好きだった ロックバンドの名前を書いた
無茶なことしたなって 僕ら笑ったんだ
次の日になって また白く塗り重ねられてたけど
君や僕の心はずっと
ぐちゃぐちゃな落書きのままだったんだ
ノートの片隅の物語は 結末を忘れられて
僕の手を離れて 勝手に動き始めたんだ
挟んで忘れたままの 君が書いた僕の似顔絵は
変わらずあの頃のまま 下手くそに微笑んでいた
僕ら歩んできた物語は今 薄っぺらな紙切れ一枚で
小さくまとめられてしまった 何も知りもしないくせに
全て終わったんだよって 誰かが呟い
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