春めいた日ではない/石川和広
少なくある
真剣なまなざしに
ゆるやかに
目を向けたい
何か距離をとって
ぼくらのやさしさが
いかに否定的なものであるか
何か距離をとって
夜の光をみる
堤の上で風をうけ
それでも距離をとれずに
大きな声でうたう
あなたも悲しいか
うめきながら隠してるうめきながら黙ってる
そんな世の中は厭だ
ぼくが思っている事どもは本当にぼくの思ってることなのか
そんな問いを投げうつ
みんなの海に踊り出す言葉たちに目背けられない
少し寒い風が吹く曇り空の火
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